瞳孔
虹彩(茶目)の中央にある黒い「穴」(開口部)。言わば「目の絞り」にあたります。
瞳孔の役割
1. 光の量を自動で調整
鏡筒カメラで言えば絞りの役割。光が強い場所では小さく、暗い場所では大きくなり、目に入る光量を適切に調節することで、うまく網膜に像が映せるようになります。これは「対光反射」と呼ばれる自律神経による無意識の反応で、左右の瞳孔が同時に開いたり閉じたりする「共通光反射」も見られます。
2. 焦点深度と像の鮮明さにも影響
瞳孔が小さいほどピンホール効果により像のピントの深さ(焦点深度)が拡がり、少しくらい手ぶれがあってもピントは合いやすくなります。逆に瞳孔が大きいと感度は上がりますが、像の輪郭は少しにじみやすくなります。歳を重ねると瞳孔の開閉に幅が出にくくなり、視界全体の調整力が減ることも知られています。
3. 「近くを見る」動作と協調
近くにある文字やスマホ画面を見るときは、目の焦点を合わせる(調節)、目を内側に寄せる(輻輳)、そして瞳孔を収縮させる――この3つの動作は合わせて「近見三合反応」と呼ばれ、よりシャープな視界を実現します。瞳孔の収縮は特に、像のにじみを抑えて焦点を安定させる働きがあります。
4. 心や脳の状態も反映?
暗さや照明だけでなく、驚き・集中・緊張といった精神的変化によっても瞳孔はわずかに拡大・収縮します。心理学や脳科学の研究では、情報処理や注意がかかるほど瞳孔がわずかに反応することが知られており、瞳孔の大きさが「脳や心の活動のバロメーター」の一部になる可能性も注目されています。
どうやって制御されているの?
- 瞳孔括約筋(輪状の筋肉、縮瞳)と瞳孔散大筋(放射状、拡瞳)が虹彩内にあり、自律神経がそれぞれ収縮・弛緩を制御しています。
- 明るさや近見刺激には副交感神経が反応、驚きやストレスでは交感神経が反応します。
- 加齢により虹彩や筋肉が硬くなると、縮小/拡大の反応範囲が狭くなることがあります。特に老視世代ではその傾向が顕著です。
実務でも利用されている知見
日本視能訓練士協会の「三歳児眼科健診マニュアル」などでは、瞳孔中央の光反射の出方(中心にまとまるか左右にズレるか)によって、遠視や近視、斜視の可能性などをスクリーニングする手法が採用されています。これは、瞳孔が目の「屈折状態」を間接的に示す、非常に役立つ目安とされています。
まとめ
- 瞳孔は「光の入り口」であり、目の絞りとして常に最適な視界を保とうと働いている。
- 明るさ、調節、緊張、年齢などさまざまな要因に反応して瞳孔は動き、最終的には網膜に映る像の質を左右する。
- 日常生活では自動で制御されていますが、その動きをつぶさに見ることで、目の屈折の状態や精神状態の一端も読み取ることが研究されています。
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