
「何をしてもムダ」なんて…

34、35回にわたり、近視をとりまく眼科の現状について、お話して参りました。
今回も、さらにその続編をお送りします。
学校検眼で近視がわかり、眼科へ。
「うちの子の近視、なんとかならないでしょうか…」
ワラにもすがる気持ちで、そんなふうに切り出したお母さん。
『成長とともに視力も落ちていきますよ』こんなふうに言われてしまったんだけれど、というご相談が、実際に眼育総研に寄せられることがあります。
もう少し詳しく言うと…
「落ちてしまった視力は、どうやっても戻らない。
しかも、成長とともにこの先もっとどんどん落ちていくので、何をしてもムダ」
「メガネをかけるしかない」
と宣言された、というわけです。
なんとかなるどころか、もっともっと悪くなる(?!)
こんなことを言われてしまったら、がっくり肩を落として帰るしかないというものです。
でも…成長するにしたがって、視力もますます落ちていくと言われれば、何となく「そういうものなのか」という気がしないでもないですが、なぜそうなるの?というギモンが、当然わいてきますよね。
身長と視力の関係??

これに対する説明として、成長とともに身長が伸びる
↓
それにしたがって眼球も伸びていき、目のピントが合わない状態になる
↓
成長すればするほどに伸びて、ますます近視の度が進む
というふうに言われることがあります。
でも…
じゃあ、身長が伸びなければ視力は落ちないの??
そもそも、なぜ身長と視力に関係が??
成長しても視力が落ちない人もいるけれど??
ギモンは尽きません。
『成長とともに視力も落ちる』というまことしやかな説、本当のところはどうなのでしょうか?
そのことを考えてみるために、ここで、ものが見える仕組みと近視について簡単にお話します。
私たちがものを見るときのメカニズムは、カメラで写真を撮る場合と似ています。
光がレンズを通り、フィルムに像として焼き付けられるというのが写真の仕組みですが、同じように、光が”水晶体”(レンズにあたる部分)を通り、”網膜”(フィルムにあたる部分)に像が写し出される。
これが、ものが見える仕組みです。
このとき、レンズにあたる”水晶体”は、薄くなったり厚くなったりして、目のピントを調節します。
その調節が、うまくいかないのが近視――簡単に言うと、そういうことになります。
”ボール”が”ラグビーボール”に

その、うまくいかなくなってしまった調節機能を助ける働きをしてくれるものがあります。
それが、メガネやコンタクトレンズです。
今までぼやけて見えていたものがハッキリ見えるようになるので、近視の人にとってメガネやコンタクトレンズは、とてもありがたい存在。
でも…本来、【遠くが見えづらい】近視の状態を矯正するのが、メガネやコンタクトレンズの役目です。
近視によって見えづらくなる”遠く”とは、”5メートル以上先”の距離です。
逆に言えば、近くを見るためには、視力の矯正は必要ありません。
近いところは支障なく見えるのが、近視なのです。
にも関わらず、ここで、近くを見るのにも常にメガネやコンタクトレンズを使い続けてしまうとどうなるか??
眼球は、その名のとおり、ボールのような丸い形をしています。
ところが、近くを見るにも常にメガネやコンタクトレンズを使う、という必要以上の矯正をすることで、“ボール”がだんだんと変形し、目の奥の方向に横長の“ラグビーボール”のような楕円状になっていくということが起こります。
その結果、カメラのフィルムにあたる“網膜”の位置が後ろに移動する
↓
ピントの合う位置が変わり、今までどおりの矯正では、ピント合わせができなくなる
つまり『近視の度が進んでしまう』という現象が起こるのです。
メガネ・コンタクトレンズの弊害

メガネやコンタクトレンズは、近視の人にとってありがたいものである反面、度を超した使い方をすると、目に大変な負担を強いてしまう――といえるわけですね。
適応するために眼球が変形してしまう、ということが、それをよく表しています。
特に、かけ外しのできるメガネに比べ、【付けたら付けっぱなし】のコンタクトレンズは、それだけ目への負担が大きいといえます。
このように、メガネやコンタクトレンズで“過矯正”
眼球が”ラグビーボール状”になり、極端に視力低下
といったタイプの近視を『軸性近視』と呼びます。
一方、先ほどお話した、”水晶体”の調節機能がうまくいかない近視を『屈折性近視』と呼びます。
『軸性』でも『屈折性』でも近視は近視なのですが…『屈折性近視』の段階では、カメラでいえば、【レンズに不具合があるけれど、フィルムまでの距離には特に問題がない】という状態です。
しかし、『軸性近視』にまで進んでしまうと、【レンズの不具合に始まり、フィルムまでの距離も狂ってしまった】状態に移行しているということになるわけです。
つまり――「えっ、うちの子が近視?!」と、学校検眼の結果にビックリ…
この段階ではまだ、多くの方が軽度の近視、“ピント調節だけの問題”にとどまっていることが多いのです。
が、メガネやコンタクトレンズを常用するうちに、視力がどんどん低下、ついに0.1を切るまでに…
例えばそのあたりまで近視が進むと、”ラグビーボール”化 = 強度近視の域に達してしまっている、と言えます。
『成長とともに~』説の真相

長くなりましたが、ここで本題に戻りましょう。
『成長とともに視力も落ちる』説の理由として説明される、成長とともに身長が伸びる
↓
それにしたがって眼球も伸びていき、目のピントが合わない状態になる
↓
成長すればするほどに伸びて、ますます近視の度が進む
このことは、眼球の”ラグビーボール”化、つまり『軸性近視』を意味しているのだとわかります。
しかし、その原因が、【近くを見るにも常にメガネやコンタクトレンズを使う、という必要以上の矯正】にある、ということは先ほどお話したとおりです。
『近視はすべて遺伝である』という考え方が、背景にあるからなのです。
近視はすべて遺伝である
↓
『軸性近視』が遺伝する
↓
“ラグビーボール”化が始まっている
↓
成長にしたがってますます”ラグビーボール”化していく
『成長とともに視力も落ちる』という説の裏には、こういう考え方があったというわけです。
「近視はすべて遺伝」て、本当?!でもお話しましたが、純粋な遺伝による近視の割合は、全体のわずか5%にすぎません。
ですから、『成長とともに視力も落ちる』というのは、真実だとは言えないのです。
まとめ

『成長とともに視力も落ちる』というのは、真実とは言えない
↓
『成長期だから』は間違い
↓
「何をしてもムダ ⇒ メガネをかけるしかない」も間違い
ですが一方、全く違う理由で、「成長期に近視が進行しやすい」のは事実です。
- いったい、それはなぜ??
- 目のために、そんな成長期をどう過ごせばいい?
- 成長期だから、やってはいけない!こんなこと…
具体的に、どこをどう改善すればいい??
こんな話題を、引き続いて次回お送りします。ご期待ください!!
「視力が落ちてしまったら、何をしてもムダ?」
いいえ!安易に”メガネ”への道を進む前に…打つ手があります!!
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