第43回眼 どうなの??オルソケラトロジー
執筆者眼育総研事務局
🖍 公開日:
2025.04.25
↺ 更新日:
2025.04.26
執筆者眼育総研事務局
2001年より子供の視力回復トレーニング教材の企画・販売や教室を運営現在はTVやYouTubeを見ながらトレーニングができるホームワックの製造・販売を行う

そんなことって、できちゃうの??

突然ですが、皆さんは「オルソケラトロジー」をご存じでしょうか。
なんだか舌を噛みそうな名前ですが…

目の情報を気にかけている方なら、聞いたことあるな~、という感じかもしれません。

すごく興味深々、詳しく知りたいと思ってたところです!
という方は、近視の悩みが切実な状況かもしれません。

では、その「オルソケラトロジー」とは?
ギリシャ語で

  • “オルソ”とは矯正
  • “ケラト”は角膜
  • “ロジー”は療法

を指します。
つなげるとつまり、“角膜矯正療法”ということになります。

これが、近視を矯正する新技術として話題になっているわけですが――
【特殊なコンタクトレンズを使った近視改善法】

ひとことで言うと、それが「オルソケラトロジー」です。
この場合のコンタクトレンズは、普通のコンタクトレンズとはまったく別物です。

もう少し詳しくご説明しますと…

「オルソケラトロジー」は、特殊なコンタクトレンズを夜寝ている間に装着

⇒角膜の形状を変化させ、日中起きている間の近視状態を一時的に矯正する、という治療法です。

コンタクトレズを装着するのは寝ている間だけですから、日中は裸眼の状態で近視が改善されるというわけです。

そんなことって、できちゃうの??
というのが、初めて聞く人にとっては、正直な感想かもしれません。

そんな“ちょっと驚き”の新技術だからこそ、大変注目を浴びている、とも言えるでしょう。

注目を浴びるそのワケは

「オルソケラトロジー」が注目を浴びている理由がもう1つあります。

最新の眼科技術の中で「オルソケラトロジー」は【手術をせずに裸眼視力を向上させる唯一の方法】とされているのです。

ちょっと話が逸れますが…
「レーシック」と呼ばれる近視矯正手術があります。
こちらもまた、話題性の高い新技術です。

が、その方法は、手術で角膜を削ることで視力を向上させるというもの。
実際に受けるかどうかということになると、やはり抵抗感があるのは確かです。

それに比べ「オルソケラトロジー」のほうは、そういった危険性を思わせる抵抗感が非常に少ない――というのが、今注目されているもう1つの理由なのです。

特殊なコンタクトレンズで角膜を”クセづけ”するだけのものですから、やめれば元に戻ります。

この点はデメリットであると同時にメリットである、とも考えられているのですね。

また「オルソケラトロジー」が「レーシック」と大きく異なる点として、子どもでも使用可能である、という点が挙げられます。

施術したら元に戻せない「レーシック」の場合、未成年は基本的に手術を受けられません。
これは、まだ成長段階にあって視力が安定していないと考えられるためです。

その点「オルソケラトロジー」には年齢制限がなく、中には「子どものうちにこそ有効である」と勧める眼科医もいるようです。

実は、日本ではまだ…

しかし…そこで気になってくるのは、果たして「オルソケラトロジー」には副作用や問題点がないのか、ということです。

『日本コンタクトレンズ学会』のホームページには、次のような”警告”が掲載されています。

「米国では既に一部のオルソケラトロジーレンズが認可を受けていますが、米国の臨床試験においても数多くの中止例が報告され、長期装用による眼球への影響のデータも不十分です。

一方、日本では、オルソケラトロジーレンズに対して厚生労働省から医療用具(その後、医療用具は医療機器と名称変更)としての承認はされていません。

オルソケラトロジーを治療の一環として、医師個人の裁量下に行うことは可能ですが、レンズ自体の販売は違法となっています」

これは2003年発表の文書ですが、大筋で状況は現在も変わっていません。
つまり、日本では「オルソケラトロジー」は未承認なのです。

現在取り扱っている眼科では、医師がアメリカからレンズを個人輸入 ⇒ 医師個人の裁量のもと、”矯正治療”が行われているということになります。

「レンズ自体の販売が違法」というのは、医師の介在しない販売方法――
メガネ・コンタクトレンズ店で売るなど――が、禁止されているということです。

それだけ、まだまだ不明な点が多く、取り扱いにも厳重注意が必要だと考えられているのですね。

現に、「オルソケラトロジーは非常に専門性が高くデリケートな治療法であり、処方を受ける場合は、知識と経験の深い眼科医にかかるべき」と説明する眼科医もいます。

しかし中には、眼科以外の医師が処方しているケースもあるといいますから、なんとも危険な話です。

ちなみに、「レーシック」は、2000年に厚生省(現在の厚労省)の承認を受けています。
もちろん、それによって安全性が裏付けられたわけではありません。

失明したという例こそないものの、さまざまな目のトラブルや、視力が元に戻ってしまった…といった失敗例が、「レーシック」に関しては報告されています。

ですが、その「レーシック」よりもさらに、まだまだよくわからないことが多いものとされているのが「オルソケラトロジー」…と言えるわけです。

子どもの使用は…?

さて、最初のほうでも触れましたが、「オルソケラトロジー」について、ちょうど詳しく知りたいと思っていた、という方がいらっしゃるかもしれません。

このメルマガを読んでくださる方のことですから、詳しく知りたい = 子どもの使用に関してどうなのか、本当のところを知りたいというのが実際なのではないか、と思います。

この点については、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。

先にもご紹介した『日本コンタクトレンズ学会』の”警告”には、次のような記述もあります。

「オルソケラトロジーレンズの就寝時装用による使用に関しては、米国でも2002年8月に比較的軽度の近視のみに許可が下りたばかりであり、未成年者への処方に対しては、海外でも慎重で、特に12歳未満の症例についてはほとんどデータがありません。

残念ながら、そのような状況にもかかわらず、日本では小学生に対して積極的に勧誘している施設があります」

現在は、子どもの症例データも少しずつ蓄積されてきているという現状はあるようです。

また、現在日本で「オルソケラトロジー」を取り扱っている眼科医の中にも、”豊富な症例を持っており、経過観察をしっかり行ったうえで慎重に処方している“と表明している医師もいます。

それでもやはり――普通のコンタクトレンズの場合でも、若年層の使用に関しては、さまざまなトラブルが発生しているという一面があります。
成長期の目に”危険”なのは…

メリットはデメリット(?)

“就寝時装用による使用に関しては、米国でも2002年8月に比較的軽度の近視のみに許可が下りたばかり“という点、

そして、日本では未承認である…といった「オルソケラトロジー」の現状を考えると、やはり、まだまだ不明な点や未成熟な面が多々あることは否定できないと言って良いでしょう。

そして、「オルソケラトロジー」が角膜を”クセづけ”するだけ
⇒やめれば元に戻るというものであることは先にもお話したとおりですが――

その点がむしろ安心材料でありメリットでもある、と考えられる一方で、日中は裸眼で過ごせるとはいえ、視力そのものが根本的に改善されるわけではない、ということもまた、意識しておく必要がある事実だと言えるのではないでしょうか。

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