強度近視
強度近視は、近視の中でも度数が強い状態を指し、一般に等価球面屈折度が−6.00D以上(無調節時)で定義されます。臨床では眼軸長が約26.5mm以上の場合も強度近視と扱われることが多く、屈折度と眼軸長の両面から評価します。強度近視は見え方の不便だけでなく、将来の眼疾患リスクが高くなる点が重要です。
「病的近視」との違い
強度近視は主に近視の強さ(屈折度)を示す用語です。一方で病的近視は、屈折度にかかわらず網脈絡膜の萎縮や後部ぶどう腫などの構造変化が生じ、視機能に不可逆的な障害を来し得る状態を指します。つまり「強い近視=病的近視」ではなく、眼底の変性所見の有無が区別のポイントです。
合併しやすい主なリスク
- 網膜剥離・網膜裂孔:黒い点が急に増える(飛蚊症)・ピカッと光が走る(光視症)などの前ぶれに注意。放置すると見え方が大きく損なわれることがあります。早めの受診が大切です。
- 黄斑のトラブル(近視性黄斑症など):中心がゆがむ・暗くなる・細かい文字が読みづらい等の症状。進行前に見つけると治療選択肢が広がります。
- 緑内障:視野が少しずつ欠けていく病気。初期は自覚しにくいため、強度近視の方は定期検診で早期発見を。
- 白内障が早めに進む:一般の方より若い年齢から濁りが進みやすいことがあります。見えにくさやまぶしさが続くときは相談を。
- 目の奥がのびて薄くなる変化(後部ぶどう腫):黄斑の不調につながり、ゆがみや視力低下の原因になることがあります。
※いずれも必ず起こるわけではありませんが、強度近視では起こりやすくなります。見え方の急な変化を感じたら早めに受診し、定期的な眼底検査やOCTでのチェックを続けましょう。
日常生活とフォローアップ
強度近視の方は、定期的な眼底検査やOCTでの黄斑・視神経のチェック、眼圧測定を受けるとともに、見え方の急変(飛蚊症・光視症・視野の欠け・歪み)に気づいたら早めに受診しましょう。
※OCT(光干渉断層計)は、赤外線の光で目の奥(網膜や視神経)の断面を痛みなく撮る検査です。
子どもで強度近視に至りやすい背景と対策
近視は小児期に眼軸長が過剰に伸びることで進行しやすく、低年齢で発症するほど強度近視に至る確率が高いことが示されています。屋外活動時間の確保、近業(読書・端末作業)時の距離・姿勢・休憩の工夫など、生活面の対策が重要です。
まとめ
強度近視は、屈折度や眼軸長が一定以上に達した近視で、将来の眼底疾患リスクが高いことが最大の注意点です。病的近視とは“強さ”ではなく“眼底の変性所見”の有無で区別されます。定期フォローと生活習慣の見直しで早期発見・重症化予防を心がけましょう。
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