遠隔眼科診療(テレオフタルモロジー)
遠隔眼科診療とは、インターネットや映像システムを活用して、離れた場所にいる眼科医が診察や診断を行う仕組みです。英語ではTeleophthalmologyと呼ばれ、日本語では「テレオフタルモロジー」とも表記されます。地方や離島、通院が難しい方々に眼科ケアを届ける新しい医療スタイルとして注目されています。
遠隔眼科診療の取り組みと現状
日本では、離島や地方の医療現場で、スマートフォン型眼科機器やポータブルスリット顕微鏡を用いて撮影した画像や映像を、大学病院や専門施設の眼科医がリアルタイムに解析するシステムが実用化されています。これにより、眼科医がいない地域でも専門的な診断が可能となり、治療方針を本土の医師と共有することができます。
たとえば、スマートフォンに装着するスマートアイカメラ(Smart Eye Camera/SEC)は、地方や離島に導入され、現地で撮影した眼の画像をもとに専門医が遠隔診断を行っています。実際に伊豆諸島の神津島では、遠隔で角膜疾患を診断し、適切な処方につなげた例も報告されています。また、広島県の似島では、地域住民の検診で撮影した画像を専門医が確認する取り組みが行われ、受診が必要なケースを効率的に発見できることが示されました。
代表的な技術と仕組み
- スマートアイカメラ(SEC):スマートフォンに装着する小型のスリットランプで、前眼部や眼底の映像を簡単に撮影・送信できます。緑内障やドライアイの診断補助にも応用され、AI診断の基盤としても研究されています。
- TV会議システム連携:地方クリニックと大学病院が安全な通信で接続され、眼科医が遠隔地の映像をもとに診断や治療相談を行う体制も整っています。
導入によるメリット
- 医師が不足している地域でも専門的な眼科医療を受けられ、医療格差の改善につながります。
- 受診の負担を減らしつつ、早期発見や定期的なフォローアップの精度向上に役立ちます。
- 健診や地域医療における効率化や予防医療の推進に貢献します。
注意点と今後の展望
- 高精細な画像撮影と安定した通信環境が前提となるため、地域ごとのインフラ整備が課題です。
- AI技術との連携により診断効率の向上が期待されますが、法的枠組みや運用体制の整備も必要です。
オンライン診療との違い
遠隔眼科診療は、一般的なオンライン診療とは異なり、眼科に特化しています。オンライン診療は主にパソコンやスマホのビデオ通話で症状を聞き取り、処方や経過観察を行う仕組みです。一方、遠隔眼科診療では、眼底カメラやスマートアイカメラ、OCTなどの専用機器で撮影した画像を専門医が解析し、網膜や角膜の病変を診断します。つまり、オンライン診療は会話中心、遠隔眼科診療は画像診断中心という点が大きな違いです。
まとめ
遠隔眼科診療(Teleophthalmology/テレオフタルモロジー)は、地域を問わず専門的な眼科ケアを届けられる新しい医療の形です。地方や離島、通院が難しい方にとって、視力を守る大切な手段となっており、今後はAIや制度整備とともにさらに発展していくと考えられます。
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