第30回眼 「近視はすべて遺伝」て、本当?!
- 視力回復辞典(視力回復の真実)
- 2006.06.01
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「近視はすべて遺伝」説のワケ
眼育総研では、ポイントは「目の使い方」にあるという考え方のもと、
×『凝視』(ぎょうし)→目を凝らし、目に必要以上の力を入れて見る
○『眺視』(ちょうし)→目をリラックスさせて、調節に必要な最小限の力のみ使い、「眺める」ように見る
『凝視』をやめて『眺視』をしよう! という提案をして参りました。
【環境の変化=近くを凝視し続けること】による近視の増加…
これに対応するには、『凝視』をやめて『眺視』をすることに勝る策はありません。
つまり、近視になってしまうのも、近視を予防するのも、カギは目の”使い方”にありと言うことなのです。
それに対し、「近視はすべて遺伝」という説は――
- 角膜のカーブが急である
- 眼球が長い
これらの理由で、焦点が網膜の手前で合ってしまう屈折異常 = 近視
そして、これらはすべて遺伝的要因からきているといった考え方が、元になっています。
つまり、近視になるかならないかは、目の「形質」の問題であるという説です。
その場合、対処方法としては、近視を「矯正するしかない」…という結論に達するわけですね。
メガネやコンタクトレンズをはじめ、最近ではレーシック手術やオルソケラトロジーといった手法が話題になったりしていますが、これらはすべて「形質を矯正」という考え方からきています。
確かに、「遺伝」も近視の原因の1つではあります。
でも、原因を「それだけ」と考えるのは、かなり無理があります。
そこには「環境の変化」という要素が、まったく加味されていないからです。
「一卵性双生児の近視」でわかるコト
近視の原因に関しては、まだ医学的に、はっきりとは解明されていません。
そして、それが「近視はすべて遺伝」説が生じる原因となっています。
それでも、ここ数年、近視に関するさまざまな研究結果が発表されているのも事実です。
解明への動きが、徐々にではあっても、進みつつあります。
その一例として、「一卵性双生児の近視」のお話をご紹介しましょう。
香港・広州中山大学の研究チームが、1,000組の一卵性双生児を対象に、5年間にわたって近視の研究を実施しました。
その結果は、
まったく同じ染色体の遺伝子を持つ一卵性双生児でも、離れた場所や異なる環境で生活した場合、一方の子どもには近視が見られ、もう一方の子どもには近視がないという状態が表れることがあった。
最大で屈折度が5.5Dという、非常に大きな近視度の差が出た。
というものでした。
「近視はすべて遺伝」ではなく、「環境」という要素が関わっているということを示す、非常にわかりやすい事例ですね。