第41回眼 噛まない子どもの視力が危ないって本当?!
- 視力回復辞典(視力回復の真実)
- 2006.10.15
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5歳で視力のピークが…
こういった状況を非常に深刻なものと受け止め、さまざまな面から研究を進めていた
人物の1人に、神戸山手大学の島田彰夫教授(2006年没)がいます。
1987年から若者の視力低下について調査をしていた島田教授は、視力の最も良い時期(ピーク)が、
60年代生まれの人では8~9歳
70年代生まれになると7~8歳となり
90年代生まれでは5歳
と、予想外の勢いで低年齢化していることを発表しました。
このことから、本来、子供にとっては視力の発達時期の真っただ中であるはずの5歳という年齢で、視力が上がりきらないうちに低下し始めるという現象が起こっていると島田教授は結論づけています。
また、その原因となっていることのひとつとして、意外なことが挙げられているのですが…
視力にも影響する、【○○力】とは?
幼少のうちに、視力が上がりきらないまま低下し始めるという現象。
その原因のひとつとなる、意外なこととは…
『”咬合力”(噛む力)の低下』なのです。
“噛む力”と視力の間に密接な関係がある――という意外な事実は、島田教授の研究をはじめとして、近年少しずつ明らかにされつつあります。
十勝歯科医師会の「口腔機能研究会」は、ホームページで下記のように掲載しています。
『視力の強弱は水晶体(目のレンズ)を調節して、遠近の焦点を合わせることで決まります。
そのレンズの調整をするのは毛様体筋で、毛様体筋の筋力低下が、低視力の大きな要因のひとつと考えられます。』
筋肉は、単独に一種類のものだけを鍛えることは難しい構造になっています。
ですから、鍛えるためには、連動する筋肉を同時に強化することが重要になるわけです。
毛様体筋に連動する筋肉は、顔面筋――
主に咀嚼(そしゃく)することに関係の深い顔の筋肉――です。
つまり、【よく噛む】ということが毛様体筋の筋力増強には効果的ということになります。
また十勝医師会では、
『最近の食事の傾向は、ファーストフード食品に代表されるように、やわらかくのみ込みやすい食品が増えています。
特に若者は飲料水などで、流し込むことが多くなる傾向があります。
噛む回数が少なくなると、顔面筋の筋力は弱まる傾向にあり、それが視力にも影響していると考えられています。』
とも掲載しています。
ほうれん草が「硬い」なんて…
島田教授もまた、
「咬合力が弱いと顔の咬筋が弱くなり、視力にも影響する」と述べています。
教授が行った調査の結果、
学生297人を対象に行ったアンケート調査で、硬い食べ物を好む人の方が、軟らかい食べ物を好む人に比べて、視力が2倍程度良いという結果が出た
5歳時に、咬合力が1kgにも満たなかった子どもが中学生になったとき、視力は0.2だった一方、同時期の咬合力が10kgだった子どもが中学生になったときの視力は1.5だったということがわかったと報告されています。
因みに「咬合力」とは――あるデータによると、成人男性で70kg程度、成人女性では50kg程度というのが平均的だといいます。
この調査の中で、5歳時の咬合力が1kg未満だった子どもは、ほうれん草を”硬い食べ物”だと答えた…という話もあります。
参考書籍:無意識の不健康 島田彰夫著 ―農山漁村文化協会刊―