近視管理用眼鏡
近視管理用眼鏡とは、今の見え方を補正しながら、子どもの近視の進行を抑えることも目的とした特殊な眼鏡レンズです。
一般的な近視用眼鏡は、遠くを見えやすくする「視力補正」が主な役割です。
一方、近視管理用眼鏡は、視力を補正する機能に加えて、眼軸長の伸びを抑える方向に働くよう工夫された光学設計が取り入れられています。
日本近視学会・日本眼科学会のガイドラインでは、近視管理用眼鏡として、デフォーカス組込み理論に基づく多分割眼鏡レンズや、光のコントラストを調整する低光線拡散レンズなどが紹介されています。
普通の近視用眼鏡と何が違うの?
一般的な近視用眼鏡は、近視によって網膜の手前にできる焦点を網膜上に合わせ、遠くを見えやすくすることを目的としています。
近視管理用眼鏡では、それに加えて、レンズの周辺部などに特殊な光学設計を取り入れています。
そのため、
・今の見え方を補う
・近視の進行を抑えることを目指す
という2つの役割を持つ点が特徴です。
近視そのものを治して眼鏡が不要になることを目的としたレンズではありません。
どのように近視の進行を抑えるの?
代表的なのが、近視性デフォーカスを利用する方法です。
近視性デフォーカスとは、網膜より手前側に焦点ができるような光学的な状態を指します。
近視管理用眼鏡の一部では、レンズ中央部で通常どおり視力を補正しながら、その周囲に配置された小さな光学領域によって近視性デフォーカスをつくります。
この光学的な刺激が目の成長に影響し、眼球の前後方向への伸び=眼軸長の伸長を抑えることで、近視の進行抑制につながると考えられています。
ただし、近視管理用眼鏡のすべてが同じ仕組みを採用しているわけではありません。
近視管理用眼鏡にはどんな種類があるの?
現在、近視管理用眼鏡には複数の方式があります。
多分割眼鏡レンズでは、レンズ内に多数の小さな光学領域を配置し、近視性デフォーカスをつくります。
代表的な製品として、
・MiYOSMART(ミヨスマート)
・Essilor Stellest(エシロール ステラ)
などがあります。
日本近視学会・日本眼科学会の「近視管理用眼鏡(多分割レンズ)ガイドライン」でも、この2製品が取り上げられています。
そのほか、異なる光学設計を採用した近視管理用眼鏡についても研究が進められています。
近視性デフォーカスを使わないタイプもあるの?
あります。
近視管理用眼鏡には、近視性デフォーカスを利用する方式だけでなく、網膜に届く光のコントラストを調整する考え方に基づいたレンズもあります。
日本近視学会・日本眼科学会のガイドラインでは、こうした方式として低光線拡散レンズ(DOT lens)についても触れられています。
つまり、「近視管理用眼鏡=すべて同じ仕組み」ではありません。
ミヨスマートとStellestは何が違うの?
どちらも近視管理用眼鏡ですが、光学設計は異なります。
MiYOSMART(ミヨスマート)は、DIMS(Defocus Incorporated Multiple Segments)という方式を採用しています。
DIMSでは、中央部で視力を補正しながら、その周囲に多数の小さなセグメントを配置して近視性デフォーカスをつくります。
一方、Stellestは、HAL(Highly Aspherical Lenslet)と呼ばれる非球面レンズレットを利用した設計です。
どちらも視力を補正しながら近視進行抑制を目指しますが、レンズの構造や光学設計は同じではありません。
そのため、「近視管理用眼鏡」という大きなカテゴリーの中に、複数の製品や方式があると考えると分かりやすいでしょう。
どのくらい効果が確認されている?
近視管理用眼鏡については、複数のランダム化比較試験で、一般的な単焦点眼鏡と比べて近視度数の進行や眼軸長の伸びが抑えられたことが報告されています。
たとえばDIMSレンズを用いた研究では、一般的な単焦点眼鏡と比較して、近視度数の進行と眼軸長の伸びが少なかったことが報告されています。
近視度数は、眼鏡の処方箋などで使われるSPH(球面度数)などで確認することができます。
※近視進行抑制の程度には個人差があります。臨床試験で示された平均的な結果が、すべての人に同じように当てはまるわけではありません。
使用するときに知っておきたいこと
近視管理用眼鏡は、一般的な眼鏡と同じように「度数だけ合わせればよい」というものではありません。
日本近視学会・日本眼科学会のガイドラインでは、処方前の検査や適応の確認、装用後の経過観察などが示されています。
また、特殊な光学設計を適切な位置で利用するためには、フレームのフィッティングや装用位置も重要です。
使用中は、定期的な視力検査だけでなく、近視度数や眼軸長なども確認しながら経過をみていきます。
まとめ
近視管理用眼鏡は、視力を補正しながら、近視の進行を抑えることも目的とした特殊な眼鏡レンズです。
代表的な方式には、近視性デフォーカスを利用する多分割眼鏡レンズや、光のコントラストを調整する低光線拡散レンズなどがあります。
一般的な近視用眼鏡とは役割が異なり、「今の見え方を補うこと」と「近視の進行を抑えること」の両方を目指す点が特徴です。
使用を検討する場合は、眼科で現在の近視の状態や進み方を確認し、適切な処方・経過観察を受けることが大切です。
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