中心窩(ちゅうしんか)
- 目の用語辞典
- 2015.05.13
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瞳孔〈どうこう〉を通過して眼球に入った光は、網膜という画面上にピントを結び、画像になります。
網膜は眼球の奥全体に広がっています。そのため、一点を見つめていると同時に上下左右の広い範囲が視野に収まります。
ただし、網膜の中心部分とそれ以外の部分では、視力は大きく違います。
例えば、今この文章を読んでいるとき、視点を少しずつ動かして、つねに視野の中心部分で文字をとらえています。
もちろん離れたところにある文字も見えているでしょう。
ところが、視点を動かさずにその文字を読むのは非常に困難だと思います。
そのため、網膜の中心部分には視力がとても鋭敏な一点が存在することがわかります。その一点のことを医学用語で「中心窩〈ちゅうしんか〉」といいます。
中心窩は直径約0.35ミリメートルで、周囲の網膜より少し凹んでいます。
中心窩の網膜は、錐体〈すいたい〉細胞という視力の鋭敏な細胞以外は血管さえ存在せず、高い視力を得るために特殊構造をしています。
このため、ほかの部分の網膜が健康でも、中心窩の機能が失われると視力は極端に低下してしまいます。