「学校の黒板が見えにくくなってきた」「自分もスマホの文字が前よりぼやける気がする」。
そんなとき、多くの方がまず思い浮かべるのは「そろそろメガネかな?」という対処ではないでしょうか。
確かに、メガネやコンタクトレンズは“見えるようにする”ための大切な道具です。
しかし近年、世界的には近視の進行そのものが、将来の網膜剥離や緑内障などの重い目の病気のリスクを高めることが、次々と報告されています。
ある国際的な大規模研究では、2050年には世界人口の約半分が近視になると予測され、そのうち約1割は「強度近視」に達すると見込まれています。
つまり「近視=メガネをかければいい」という時代から、
「近視の進行をできるだけ抑える」という発想が必要な時代に変わりつつあるのです。

本記事では、
- なぜ近視の「進行」を放置してはいけないのか
- 強度近視がどんなリスクを高めるのか
- メガネ・コンタクトだけでは足りない理由
- 家庭でできる生活習慣と調節力(ピント合わせ力)のケア
- 自宅で取り組める調節力トレーニング機器「ホームワック」という選択肢
を、できるだけ分かりやすく整理していきます。
もう近視だからとあきらめず、「気づいた今から少しずつ変えていく」ためのヒントとして読んでいただければ幸いです。
【第1章】多くの人が誤解している「近視の本当の問題」

「メガネをかければいい」は、本当に十分?
子どもの頃から近視だった方の中には、
- 黒板が見えにくくなった → メガネを作る
- 度が合わなくなってきた → もっと強いメガネに変える
という経験を繰り返してきた方も多いと思います。
その感覚のまま親世代になり、「うちの子も、見えにくくなったらメガネをかければいい」と考えがちです。
しかし最近の研究では、近視の“度数が強くなるほど”網膜や視神経への負担が大きくなり、将来の目の病気のリスクが高まることが明らかになってきました。
「見えている=目の健康が保てている」ではない
ここで大切なのは、
「よく見えている」ことと「目が健康である」ことは別の問題だという点です。
- メガネ・コンタクト:ピントを合わせて「見えるようにする」
- 目の健康:眼球の長さ(眼軸)や網膜・視神経・黄斑部の状態など、構造そのもの
メガネをかければハッキリ見えるとしても、
眼球がどんどん伸びて強度近視に向かっている場合、
そのぶん眼の内部は少しずつダメージを蓄えている可能性があります。
特に子どもの近視は、成長に伴って「眼軸長」が伸びるスピードが速くなりやすく、放置すると強度近視へ進みやすいことが問題視されています。
なぜ今「近視を放置してはいけない」のか
世界的には、近視は「静かに進む目の病気」として大きな社会問題になりつつあります。
- 2000年時点では約23%だった世界の近視率が、2050年には約50%に達すると予測されている
- 特に東アジアでは、若い世代の80〜90%が近視という報告もある
- 強度近視に伴う「病的近視」は、アジアを中心に失明・重い視力障害の主な原因のひとつになっている
つまり、「メガネで見えているから大丈夫」では済まない時代になってきたということです。
【第2章】近視が進むと何が起こる? ― 数字で見る将来リスク

眼軸長1mmで、近視はどれくらい進む?
近視の進行は、単に「−1.00D → −3.00Dになった」という度数の変化だけでなく、
眼軸長(目の奥行き)がどれくらい伸びたかをみることが大切だとされています。
複数の研究から、眼軸長が1mm伸びると、近視度数はおよそ −2.5〜−3.0D 進行すると報告されています。
たとえば、
- 小学生の頃 −1.00D 程度だった近視が、
- 中高生で −6.00D 付近まで進む
というケースでは、
眼軸長が2〜2.5mm程度伸びている計算になり、
そのぶん網膜や視神経を内側から引き伸ばす負担が増えていきます。
強度近視が高める病気リスク
近視そのものよりも怖いのは、強度近視に伴う合併症です。
代表的なものとして、以下が挙げられます。
たとえば、国際保健雑誌に掲載されたレビューでは、
強度近視の人は、そうでない人に比べて網膜剥離のリスクが5〜6倍高いと報告されています。
また、強度近視に伴う「病的近視(病的近視性黄斑変性など)」は、
日本を含むアジアの中高年で不可逆的な視力障害・失明の主要な原因の一つとされています。
WHOの報告でも、矯正されていない屈折異常(近視を含む)や白内障、緑内障などが、世界の視覚障害の主要な原因として挙げられています。
リスクは「静かに、長い時間をかけて」積み重なる
これらの病気は、多くの場合、子ども時代に発症するわけではありません。
30代、40代、50代…と年齢を重ねる中で、徐々に症状として現れてきます。
だからこそ、
- 子どものうちから近視の進行をできるだけ抑えておく
- 家族全体で「目の健康寿命」を意識する
という発想が大切になります。
【参考文献・出典】
- 日本眼科学会「気をつけよう! 子どもの近視」(参照日:2025年11月18日)
- 引地眼科ブログ「学童期の近視進行抑制に関するEBM」(日本眼科学会雑誌総説の紹介)
- ユビー 病気のQ&A「近視の原因は何がありますか?」(眼軸長1mm≒−3Dの説明)
- Myopia Square「近視から派生する眼の疾患を知る」(強度近視と白内障・緑内障・網膜剥離などのリスク倍率)
- こづき眼科「子どもの近視は自然に治る?近視のリスク・眼科での近視治療」
【第3章】メガネ・コンタクトだけでは足りない理由

メガネ・コンタクトは「見え方」を整える対症療法
メガネやコンタクトレンズ、オルソケラトロジー(夜間装用の特殊レンズ)は、
角膜の前で光を曲げる/角膜の形を変えることでピントを合わせる手段です。
どれも日常生活を送る上で非常に重要ですが、
眼球そのものの長さ(眼軸)を短くするわけではありません。
そのため、
- 「−3.00D を −1.00D に戻す治療」ではなく、
- 「外から光を補正して、−3.00D の目でも1.0見えるようにする手段」
と理解しておくことが大切です。
※「D(ディオプター)」は、目のピントのずれ具合(近視・遠視など)を表す単位です。数字がマイナスで大きいほど近視が強く、プラスで大きいほど遠視が強い状態を意味します。
調節力(ピント合わせ力)との関係
近視が進行する背景には、
- 長時間の近業(読書・タブレット・スマホ・ゲームなど)
- 屋外活動時間の不足
- 生活全体での「目の使い方」の偏り
などが関係すると考えられています。
とくに、長時間近くを見続けると、
毛様体筋(ピント合わせをする筋肉)が緊張したままになることで、
- 一時的なピント疲労(仮性近視)
- それが長期化することで眼軸の伸びを促す可能性
が指摘されています。
「見えるからOK」から、「どう使っているか」に目を向ける
視力のケアを考えるとき、本来は
- どれくらいの時間、どんな距離で目を使っているか
- ピントを遠く・近くに切り替える機会があるか
- 十分な屋外活動時間が確保できているか
といった「目の使い方」そのものを見直す必要があります。
その一環として、近年は「調節力(毛様体筋)を意識的にケアする」という考え方が注目されています。
【第4章】近視進行を抑えるために家庭でできる3つの柱

ここからは、今日からご家庭で意識できる、近視進行 防止 の生活習慣を整理していきます。
柱1:屋外活動の時間を増やす
複数の研究や国際的なガイドラインでは、
屋外で過ごす時間が長い子どもほど、近視の発症や進行が少ないことが報告されています。
たとえば、中国の小学生を対象にしたクラスター無作為化試験では、
学校での屋外活動時間を1日40分追加することで、3年後の近視の累積発症率が有意に低下したと報告されています。
屋外活動には、
- 明るい自然光を浴びることで、眼球の成長を抑える作用があると考えられている
- 屋内のような「超近距離作業」から目を離す時間が自然と増える
といったメリットがあります。
目安としては、1日2時間前後の屋外遊びを確保できると理想的とされますが、
最初は「今より30分増やす」など、無理のない範囲から始めることが大切です。
柱2:近業時間と距離を見直す
「近業時間」が長いほど、近視のリスクが高まることも、多くの研究で示されています。
ポイントは、
- 連続して近くを見続ける時間を短く区切ること
- 目と本・タブレットの距離は30cm以上を意識すること
- 机とイスの高さ、照明環境を整え、前かがみになりすぎないこと
また、最近話題の国際的なレビュー研究では、
デジタル画面を1日1時間増やすごとに、近視になる傾向(オッズ)が約21%上昇する可能性があると報告されています。
「ゲームは1日〇時間まで」といった“時間のルール”だけでなく、
屋外時間とのバランス(近業時間/屋外時間の比率)を意識することも大切です。
柱3:「ハーフタイム」でこまめに目に休憩を
PC作業やスマホが欠かせない現代では、
定期的にピントを遠くに外す習慣がとても重要です。
海外の眼科団体などが推奨している「20-20-20ルール」は、
「20分ごとに・20フィート(約6m)以上離れた場所を・20秒程度見る」という、分かりやすい目安として知られています。
一方で、私たち眼育総研事務局では、
日本の生活環境や子どもたちの実情に合わせた「ハーフタイム」という休憩法を推奨しています。
ハーフタイムは、近くを見る作業の合間に、「自分にとってピントが合う一番遠い距離」を短時間眺める目の休憩法です。
必ずしも何メートルと決まった距離でなく、
その人の視力で無理なくピントが合ういちばん遠くを「遠く」と定義しているのが特徴です。
基本の目安は、たとえば次のようなイメージです。
- 5〜20分近くを見たら、5〜20秒だけピントを遠くに外す
- 部屋の奥の壁や廊下の先、窓の外の建物など、ピントが合う一番遠い場所を眺める
- 目だけでなく体ごと少し向きを変え、リラックスした姿勢で「眺める」
20-20-20ルールのように「20分ごと」「6m先」ときっちり決めなくても、
「凝視時間を細切れにして、こまめにピントを外す」ことができれば十分に意味があります。
ご家庭では、20-20-20ルールを参考にしつつ、
より実践しやすいハーフタイムを、子どもと一緒にルール化していくことをおすすめします。
【参考文献・出典】
- CareNet「子供の近視、外で遊ばせると予防できる?/JAMA」
(中国・小学生を対象とした、屋外活動40分追加のクラスター無作為化試験の紹介) - 厚生労働省 保健指導リソース
「保護者の方に知っていただきたいこどもの近視予防対策」
(1日2時間程度の屋外活動時間確保の推奨について) - CareNet「たった1時間のスクリーンタイムの増加で近視リスクが上昇」
(デジタル画面のスクリーンタイムが1時間増えるごとに、
近視になるオッズが約21%上昇するとしたレビューの紹介)
【第5章】調節力を鍛えるという新しいアプローチ

調節力と毛様体筋の役割
私たちが
- 遠くの景色
- 手元の本
を瞬時に見分けられるのは、毛様体筋という筋肉が、
レンズの役割をする水晶体の厚みを変えてピントを合わせているからです。
このピント合わせの力が「調節力」です。
- 近くを見る:毛様体筋がぎゅっと縮む → 水晶体が厚くなる → 近くにピント
- 遠くを見る:毛様体筋がゆるむ → 水晶体が薄くなる → 遠くにピント
ところが、長時間「近くだけ」を見続けていると、
毛様体筋が緊張したまま、ゆるむ機会が減ってしまうと考えられています。
調節力低下が近視進行に与える影響
調節力の低下やアンバランス(近くばかりにピントが合う状態)は、
- 一時的な見えにくさ・ピントのぼやけ
- 「すぐ目が疲れる」「夕方になると視力が落ちる」感覚
- 眼軸の伸びを促す可能性(研究が進行中の分野)
などと関連があると考えられています。
また、親世代では40代以降の「老眼(調節力の加齢変化)」が始まることで、
- 「近くにも遠くにもピントが合いづらい」
- スマホの文字が急に読みにくく感じる
といった悩みも増えてきます。
自宅でできる調節力ケアの考え方
調節力(毛様体筋)を意識したケアとしては、例えば次のようなものが考えられます。
- 遠くと近くを交互に見る「ピントストレッチ」
- 窓の外の景色(遠く)と、手元の文字(近く)をゆっくり切り替える
- ゲームや読書前後で、しっかり遠くを見る時間を設ける
いずれも、
- “頑張って鍛える”というより、「近くに固まりがちなピントをほぐす」感覚
- 続けることで「目の使い方のクセ」を整える
ことを目的にすると、無理なく取り入れやすくなります。
ただし、自己流で強い負荷をかけすぎると、逆に疲れ目や頭痛を招くこともあります。
痛みや強い違和感がある場合は中止し、眼科で相談することが大切です。
【第6章】その具体策としての「ホームワック」

家庭で続けやすい「調節力トレーニング機器」という選択肢
ここまで、
- 近視進行と将来リスクの関係
- 屋外活動や近業時間の調整といった生活習慣
- 調節力(毛様体筋)を意識したケアの重要性
を見てきました。
とはいえ、毎日の生活の中で
- 「遠く・近くを交互に見るトレーニング」を親子で習慣化する
- ゲームや動画と同じくらい「目のストレッチ」の時間をとる
のは、意外と難しいのが現実です。
そこでひとつの選択肢として、
家庭での調節力トレーニングをサポートする機器を利用する方法があります。
ホームワックとは?(概要)
「ホームワック」は、双眼鏡のようにのぞき込むタイプの家庭用調節力トレーニング機器です。
- 中のレンズが自動で「近く⇄遠く」にピント位置を切り替える構造
- テレビや動画、好きなコンテンツを見ながら「ピントの切り替え」を体験できる
- 1日数回、数分単位から続けやすい設計
など、「目のピント合わせ力(調節力)を自然に使う時間」を作ることを意識した機器です。
「勉強しなさい」より「ゲームしていいよ」の方が続きやすいように、
「目のトレーニング=つらいもの」ではなく、「いつものTVタイムに少しプラスするもの」として続けられる工夫がされています。
子どもにも、大人にも役立つ理由
ホームワックは、
- 子どもの近視進行に不安を感じている親御さん
- PCやスマホで目が疲れやすい大人世代
- 老眼の入り口で、ピントの切り替えが重たく感じ始めた方
など、家族全体で「目の使い方」を見直したい方にとって、
日常に取り入れやすいピントストレッチのツールになり得ます。
もちろん、病気の治療や視力の改善を保証する医療機器ではありません。
ですが、
- 屋外活動や生活習慣の見直し
- 定期的な眼科受診
と組み合わせながら、
「目の健康寿命」を意識した暮らしづくりの一助として活用することができます。
もし、「家庭でも続けやすい調節力トレーニングの方法を探している」と感じたら、
ホームワックの詳細をチェックしてみるのもひとつの方法です。
おわりに──「今からでもできること」が必ずある

近視の進行や将来のリスクと聞くと、
「もっと早く知っていれば…」と不安になってしまう親御さんも多いかもしれません。
けれども、目のケアは「今、気づいたところから」始めることができます。
- 今日から少しだけ屋外での時間を増やしてみる
- 寝る前のスマホ時間を10分短くしてみる
- 勉強や仕事の合間に、遠くを見る「ひと呼吸」を入れてみる
- 子どもと一緒に、ピントを切り替える遊びを取り入れてみる
こうした小さな一歩の積み重ねが、
将来の「見える時間」「好きなことを自分の目で楽しめる年数」を伸ばすことにつながっていきます。
この記事が、ご家族の目の健康について考えるきっかけになれば幸いです。
そして、気になる症状がある場合や、近視の進行が早いと感じる場合は、
必ず眼科専門医に相談し、定期的な検査を受けることをおすすめします。
「メガネをかければいい」から一歩進んで、
「近視の進行をできるだけ抑えながら、長く快適に見える毎日をつくる」という考え方を
ぜひ今日からご家庭でも取り入れてみてください。
視力回復辞典(視力回復の真実)
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