第76回眼 震災でメガネを失ったとき
- 視力回復辞典(視力回復の真実)
- 2010.12.07
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防災袋よりも安心できることとは?
【ママ】
「確かに、そうですよね。
そう言えば博士、話は変わりますが、震災後の避難所で、レンズの度を自分で変えられるメガネが役立ったという話を聞きました。」
【博士】
「”アドレンズ・エマージェンシー“ですね。」
【ママ】
「あれって、自分で度数を調整できて、誰でも使えるんですよね。
震災のとき、メガネやコンタクトを持って逃げれなかったときは、ああいうメガネがあると便利ですよね。
防災袋には”エマージェンシー”を入れといたらいいでしょうか?」
【博士】
「たしかにあれは、名前の通り“緊急用”としては良いです。
ただし、長期的使用に耐えうるものではないのです。
あくまでも、緊急時用として、考えてくださいね。」
【ママ】
「ガーン!
近視でも安心できるグッズを見つけたと思ったのに…。
ケンタの近視がさらに進んで、将来災害にあった時の事が心配で心配で…」
しょんぼりと肩を落とすママ。
博士はそんなママの肩にやさしく手を置く。
【博士】
「視力を維持する事こそ、最大の防災対策ですよ。
天災時に、メガネやコンタクトを無くして本当に困る人は、視力が0.1以下の方々です。
それ以上の視力がある人にとっては、困りはしますが、まあ何とかなります。」
【ママ】
「そうなんですか」
【博士】
「そして、ここからが大事な点ですが、視力が0.1以下に落ちる人の多くは、成長期の間に落ちます。
逆に言うと、成長期の間をそれ以上の視力で乗り切れば、20歳以降になってから、視力が0.1以下に落ちる人は、ほとんどいません。
成長期の間を、ともかく最低でも視力が0.2以上の状態で乗り切るだけで、実は相当な財産だということを、多くの方に理解していただきたいですね。」
【ママ】
「ええ~。
なんか今までは、視力が1.0以上にならなければ、結局ダメじゃん、と思っていたのが、実は全然違うんですね。」
【博士】
「災害対策という意味から行くと、本当にそうなのです。
視力が1.0以上にならないからといって、せっかく始めた視力トレーニングを止めてしまう方がたまにいらっしゃるのですが、“誠にもったいない”としか、言い様がありません。」
【ママ】
「ようするに、20歳までに維持した視力が、その子の財産になるわけですね。」
【博士】
「歯と同じように考えると良いと思います。
一本虫歯ができたからといって、歯磨きをしなくなる人はいないですよね。
目も同じで、成長期の間は、たとえ近視になったとしても、それ以上進ませないようにすることが、とても大切です。」
【ママ】
「確かに、“近視になったからもう終わり”ではないんですね。」
【博士】
「メガネやコンタクトが手に入らない状態におちいったとしても、何とか生きていける視力を維持しておく…
これが、防災袋に入れるグッズよりも、災害時において、最大の安心を生みますよ。」
【ママ】
「博士、いいこと言いますね…」
感動で涙ぐみそうになるママ。
うんうんとうなずく博士。
【博士】
「さあ、ケンタくんの近視を食い止めるために、三人で一緒にがんばりましょう!」
【ママ】
「”エマージェンシー”って、調べたらけっこう高かったんで、買おうかどうか迷ってたんです。
博士のおかげで、グッズには頼らない決心ができました。
代わりに、私の新しいコートを買うことにします!」
【博士】
「新しいコートが買えることになったから、感動していたんですか!?!?」